システムトレード:順張りの改良
今週、私が選抜株式レースで選んでいた銘柄は8283PALTAC。昨年改良を終えた自身の順張りシステムで仕掛けた銘柄で、私は今も保有しています。運良くプラスの成績でしたが、先週末時点で私は「リスクが伴います」というコメントを添えました。株式投資にリスクがあるのは当然ですが、普段と比べてもリスクが大きいと思ったからです(この考えは今も変わっておらず、この銘柄を推奨している訳では決してありません)。
“運良く”と書きましたが、全くその通りでして、実際運に左右される要素が大きいのです。良い機会なので、順張りのシステムトレードに対する私の考え方を少し紹介させて頂きます。
順張りシステムの改良点
順張りの仕掛けタイミングの判定によく利用されるのはブレイクアウトでしょう。”XX日の終値を高値更新したら買い”というもので、私も活用していますが、改良前後でその使い方を大きく変更しました。
改良前に私が注目していたのは「ブレイクアウトした銘柄の数」でして、この数が一定以上になった時に一気に仕掛けていました。以前紹介しましたが、移動平均からの乖離率等で「急落した銘柄の数」に注目し、暴落時の仕掛けタイミングを判定するのと似たようなものです。
つまり、私は市場全体の上昇トレンドを見つけようとしていました。ご自身で検証できる環境をお持ちの方なら、この方法で順張りシステムを作るのは比較的簡単なのではないかと想像します。しかし、私は自分が作ったシステムに大きな不安を持っていました。なぜなら、成績の大半がごく少数の大当たり銘柄に支えられていたからです。過去の検証結果は単なる偶然かもしれません。果たして未来にも再現するだろうか…。
そこで、私は全く考え方を変え、あくまで個別銘柄の上昇トレンドを見つけるという大幅な戦略変更を試みました。ブレイクアウトを基本としつつ、補足ルールを加えたり、手仕舞いタイミングや資金管理を工夫したり、時間はかかりましたが、”それなり”のシステムができあがったと思っています。表現が微妙なのは、改良できたこと、改良できなかったこと、両方あるからです。
改良できたのは信頼性。多くの銘柄によって成績が担保されており、偶然が入り込んでいる余地は随分小さくなったはずです。「それだけ?」と思われるかもしれませんが、これはシステムトレードにおいて本質的に重要な意味を持ちます。過去の相場で良好な成績を収めるシステムを作るのは決して難しくありません(カーブフィッティング)。しかし、大事なのは未来です。未来の再現性をいかに確保するか、という点に知恵を絞ることこそがシステムトレードの本質です。最近はシステムトレードもメジャーになってきて巷にはいろんな商材があるようですが、再現性(カーブフィッティングの排除)に言及していない商材は疑ってかかられた方がいいかもしれません。
一方で、改良できなかったのは成績そのもの。苦労した割に、ハッキリ言って逆張りに比べれば大したことありません。特に勝率は低い(50%ありません)。つまり、勝ちは半数に満たないものの、勝つ時は比較的大きく勝つので、全体としてみればプラスの成績になるというシステムです。勝率の低さは個人的には何の問題もないんですが、1銘柄で勝負しなければならない選抜株式レースとなると話は変わりますよね。
以上が、選抜株式レースで8283PALTACを選ぶ際に「リスクが伴います」とコメントした背景です。
せっかくなので、次回、私が運用している逆張りシステムと順張りシステムの特徴を比較してみたいと思います。
AROTさん
こんばんは!
シストレには詳しくないのですが、かなり細かくカスタマイズ設定出来るのですね。
今や大手ヘッジファンドや外資系証券会社などはAIが主流ですし、
個人においても自動売買システムの可能性は大いにありそうですね。
gonさん、こんにちは。
以前は自身でプログラム書いてたのですが、最近は市販ソフトが優秀なのでそちらを利用しています。
ネットで検索するといろいろ出てきますよ。
「イザナミ」、「システムトレードの達人」あたりが有名ですが、少なくとも資金管理機能がついているものを選ばないと使い物にならないと思います。
又、ソフトが優秀でも一部ミスリーディングなプロモーションが行われていたりして、なかなか万人にはオススメしにくいんですが、ある程度経験のある方なら使いこなせるでしょう。
AI、私も情報を集めつつ考えを巡らせています。元々IT屋なもので。
特定の単純作業が近々AIにとって代わられるのはまず間違いないでしょうが(AmazonGoはいい例かと)、人間の知能を超えるようなAIはまだ先なんじゃないですかねえ。
私がソフトを使って日々出している注文もいわばAIですが(私はやりませんが自動化も簡単です)、計算機は一切考えていません。考えているのは私であって、計算機は指示通りに情報を記憶し、計算しているだけなんですよね。
昔から外資がやっているHFT(High Frequency Trade)も計算機の性能に頼ったもので、知能にはほど遠いですし…。
そうは言いつつ、私はGS株を保有してます(笑)。
お手並み拝見といったところでしょうか。
AROTさん
市販のソフトでも優秀なものがあるんですね。
商材屋にはあまり良いイメージを持てないでいました笑
私もまだまだ裁量でいけるとは思ってます。
ただ、私のこれまでの勝ちパターンがアルゴ全盛になって、
その選択肢が非常に少なくなったなと感じます。
値動きの質が変わったといいますか。
例えば、逆張りが得意と申し上げましたが、
デイトレで言えば、以前は短いスパーンでの大きな下落(大陰線連発)があった時に、
リバ狙いの買いを入れれば、そこでリバウンドで取れました。
所謂パニック売りのセリクラというやつです。
しかし、今はアルゴを駆使して売り買い交差しながら、
ジリ下げすることが多いので、短期での大きなリバウンドが少ないですし、セリクラも分かりにくくなりました。
リバウンドする場合も小陽線、小陰線などをつけながら
ジリ上げする傾向が見られます。
呼び値縮小の影響もあるとは思います。
正直、アルゴ、呼び値の影響だけかどうかも分かりません。
日銀ETF買いで株券を吸い上げているから値動きがおかしくなった、
信用無限解禁で個人の追証パニック売りが減り、
シコりが大きくなった,etc
私の妄想を長々としてしまい申し訳ないのですが、
デイよりもスイングなどもう少し長いタームでの取引なら
アルゴに太刀打ち出来ると思ってます。
とは言え、長く持つほどリスキーになると考えているので、
デイトレのチャンスが減るのは痛手ではあります笑
GS持っているのは流石です。
資金が入っている強いセクターのレンジ抜けは「買い」の勝率が高い気がします。
怖さもありますけど。
gonさん
貴重なコメント、ありがとうございます。
コメント拝見していて、もしかしたらgonさんが「アルゴ」と仰っているのは、私のようなシステムトレーダーかも…と思いました(笑)。実際、短期間での反発を狙う逆張りシステムをいくつか運用しています。自動化はせずに(やらない方がいいと思っているからです)手動で注文を入れますが、機械的に売買していて裁量の余地はほぼありません。仰る通り、実際この分野の競争も日に日に激しくなっているように感じます。
システムトレードをしていると、どんな優秀なシステムであっても成績が振るわない期間が必ず存在します。が、そういった期間がしばらく続いた後、一転して大きくとれたりすることが非常に多いです。システムを作るだけでなく、作ったシステムを継続運用するのもなかなか難しいもんだなと常々思います。後は、1つのシステムだとどうしても限界があるので、デイトレ/スイング、ロング/ショート、逆張り/順張り等、複数のシステムを作ってそれらを組み合わせることかと。うまくやれば、互いに弱点を補い合って驚く程良好なパフォーマンスを実現できる組合せが見つかったりします。
AROTさん
AROTさんのおっしゃるように、システムトレードもアルゴと同類だということが分かりました。これまでは、言っても個人レベルのシステムなので、マーケットにさほど影響はないと認識していたのですが、
同じようなシステムが多数存在して稼働しているとなると、
それは大きな存在となりうるのかなと。
裁量トレーダー側からしますと、AROTさんのようなシステムトレーダー(注文は手動とのことですが、大まかに定義させていただきます)のお話は非常に参考になります。
機械的売買が故に、ダマシなどに遭遇するデメリットもあるでしょうし、
AROTさんのように相場状況によって、
複数のシステムを運用なさっているのでしょうね。
ちなみに余談ですが、アルゴはたまに暴走することがありますよね。
その暴走を逆手に取って、例えば安く仕込んだ株を適当に上の方に売り指値しておくと、
結果的に日中足の上髭のテッペン近くで利確出来ていたということが稀にあります。
これはアルゴのメリットですね。
ご参考になるか分かりませんが、オススメです。笑
gonさん
いわゆる機関投資家の側で働いていたり、もともと機関投資家として活躍されていたり、そういった知人の話を聞く限り、機関投資家って世間が思う程優秀な売買主体ではないんじゃないでしょうか。むしろ、その逆のような…(笑)。少なくとも、自分で稼げる方がずっと会社員のままでいる訳はありませんしね。又、アルゴと共によく噂になるHFTはその実体を存じ上げていますが、大したことはありません。板読みをする方は別として、多くの個人投資家にはあまり影響がないと思われます。ただし、成行注文はやめた方がいいかもしれません(笑)。
今後、AIが及ぼす影響は私も気になりますが、現時点では私はむしろ優秀な個人投資家を強く意識しています。いろんな方がおられますが、中にはすごく合理的で、努力家で、精神力が強く、資金も豊富といった方がいて、私は市場でこんな人と戦っているのかと改めて考えさせられることがあります。
アルゴに限らず、人もよく暴走しますね(笑)。自分自身への戒めともしつつ、確かにそういった価格の歪み/ミスプライスは確実にとりたいところです。
AROTさん
確かに機関投資家の手口は地合い連動なことが多く、特に下げがキツイときは底でぶん投げるイメージがあります笑
社内ルールで機械的に持ち株を処分せざるを得なかったり、ファンドの場合は客からの解約に伴う換金売りなど制約が多い為、致し方ない部分もあるのでしょう。
一方で、トレンドを作るのはCTA、ヘッジファンドなどの外国人投資家ですが、昨年のブレグジット、トランプ以後のほぼ調整なしの長期上げ相場のように、
外国人投資家が買い転換した後に強引に上げ相場を作り出す力技は流石だなと思いました。
HFT大したことないですかね?笑
以前、5年間で負けなしのファンドのニュースを見ましたが、ついにそこまで来たかと感心してました^^;
BNFさんを初め、一部の個人投資家の実力は相当なものですね。私は需給バランス動向や、自分がやり手プレイヤーならどう考えるか?など心理的な部分も含め、いつも妄想してます笑
gonさん
私の場合、基本的に市場は効率的だと思っているので、相場の予測は一切しません。ランダムウォークしているだけだと思っています。なので、相場が上がろうが下がろうが、どちらでも構いませんし、その背景を考えることもありません。
私の興味は市場に時折発生する非効率な値動き(ランダムウォークを超える局面)そのものでして、コバンザメ投資はその代表例です。しかし、そういった値動きを作るのが人間が直接入れた注文でも、アルゴやHFT等の計算機が入れた注文でも、どちらでも構わないと思っています。少なくとも現時点では、私の売買に流動性という意味でメリットこそあれ、デメリットは感じないですねえ。
AROTさん
AROTさんは類まれなる実力をお持ちのことと推察いたします。
システムトレードを重用されているあたり、AROTさんは機械的に淡々と売買判断できる方で
私の思うアルゴ側なのかもしれませんね。
私は昔ながらの需給を読むスタイルですので、アルゴやHFTの台頭に苦戦しているのかもしれません。
AROTさんに弟子入りしたいくらいです^^
勉強させていただきます!
gonさん
私がgonさんの仰るアルゴ側にいる可能性は高そうですね。
以前もコメントさせて頂いた通り、現時点で私が気を配っている相手はむしろ個人投資家の方でして、実際システムトレードもメジャーになってきてマーケットインパクトが無視できなくなってきています。
工夫を重ね、この競争に勝たないと!私にはもう給料がありませんから(笑)
後、AIについては日々情報を集めているところです。
投資手法は人それぞれ、十人十色だと思いますが、このブログが何かの参考になれば幸いです。