今週、私が選抜株式レースで選んでいた銘柄は8283PALTAC。昨年改良を終えた自身の順張りシステムで仕掛けた銘柄で、私は今も保有しています。運良くプラスの成績でしたが、先週末時点で私は「リスクが伴います」というコメントを添えました。株式投資にリスクがあるのは当然ですが、普段と比べてもリスクが大きいと思ったからです(この考えは今も変わっておらず、この銘柄を推奨している訳では決してありません)。

8283PALTAC20170211

“運良く”と書きましたが、全くその通りでして、実際運に左右される要素が大きいのです。良い機会なので、順張りのシステムトレードに対する私の考え方を少し紹介させて頂きます。

順張りシステムの改良点

順張りの仕掛けタイミングの判定によく利用されるのはブレイクアウトでしょう。”XX日の終値を高値更新したら買い”というもので、私も活用していますが、改良前後でその使い方を大きく変更しました。

改良前に私が注目していたのは「ブレイクアウトした銘柄の数」でして、この数が一定以上になった時に一気に仕掛けていました。以前紹介しましたが、移動平均からの乖離率等で「急落した銘柄の数」に注目し、暴落時の仕掛けタイミングを判定するのと似たようなものです。
つまり、私は市場全体の上昇トレンドを見つけようとしていました。ご自身で検証できる環境をお持ちの方なら、この方法で順張りシステムを作るのは比較的簡単なのではないかと想像します。しかし、私は自分が作ったシステムに大きな不安を持っていました。なぜなら、成績の大半がごく少数の大当たり銘柄に支えられていたからです。過去の検証結果は単なる偶然かもしれません。果たして未来にも再現するだろうか…。

そこで、私は全く考え方を変え、あくまで個別銘柄の上昇トレンドを見つけるという大幅な戦略変更を試みました。ブレイクアウトを基本としつつ、補足ルールを加えたり、手仕舞いタイミングや資金管理を工夫したり、時間はかかりましたが、”それなり”のシステムができあがったと思っています。表現が微妙なのは、改良できたこと、改良できなかったこと、両方あるからです。
改良できたのは信頼性。多くの銘柄によって成績が担保されており、偶然が入り込んでいる余地は随分小さくなったはずです。「それだけ?」と思われるかもしれませんが、これはシステムトレードにおいて本質的に重要な意味を持ちます。過去の相場で良好な成績を収めるシステムを作るのは決して難しくありません(カーブフィッティング)。しかし、大事なのは未来です。未来の再現性をいかに確保するか、という点に知恵を絞ることこそがシステムトレードの本質です。最近はシステムトレードもメジャーになってきて巷にはいろんな商材があるようですが、再現性(カーブフィッティングの排除)に言及していない商材は疑ってかかられた方がいいかもしれません。
一方で、改良できなかったのは成績そのもの。苦労した割に、ハッキリ言って逆張りに比べれば大したことありません。特に勝率は低い(50%ありません)。つまり、勝ちは半数に満たないものの、勝つ時は比較的大きく勝つので、全体としてみればプラスの成績になるというシステムです。勝率の低さは個人的には何の問題もないんですが、1銘柄で勝負しなければならない選抜株式レースとなると話は変わりますよね。

以上が、選抜株式レースで8283PALTACを選ぶ際に「リスクが伴います」とコメントした背景です。
せっかくなので、次回、私が運用している逆張りシステムと順張りシステムの特徴を比較してみたいと思います。