会社員を辞めて失ったもの①:給料
独立してもうすぐ2年になります。生活基盤が整ってくる一方で、会社員をやめることで失ったものが客観的に見えるようになってきた気がします。将来独立を考えている方々のご参考までに、実際に失ったものについて、私の考えを整理してみます。
まずは給料から。
これは皆さん容易に想像がつくと思います。
独立後の変化
お金を稼ぐ方法は2通りしかありません。
・ ①汗をかく
・ ②リスクをとる
①は雇用の存在が前提となります。会社員として働いていた頃の私は①でしたが、自営している今の私は②となります。
「働きさえすれば銀行口座の残高が増える」、会社員時代は当然だと考えていましたが、独立後はそうはいきません。働いてはいるんですよ。ただ、今の私は、どれだけ長時間働いたとしても、労働に対する対価はほとんどありません。収入は、投資やビジネスの結果次第。結果が伴わなければ、確実に口座残高は減ります。
自分で全てを決断し、その結果責任を自身で負う。このこと自体は非常に楽しいのですが、想像以上に大きな変化でもありました。今では随分慣れてきましたが、私自身のメンタリティが追いつくまでかなり時間がかかった気がします。例えば月単位の収支がマイナスになった時、それが長期的な収益のために受け入れるべき変動だと頭では分かっていても、心の中では気持ちのいいものではありません。
しかし、資産の変動を極力抑えて安定を重視する戦略をとれば、利回りが犠牲になります。会社員時代は給料という安定的なキャッシュフローがあったために、安定よりも利回りに集中し、比較的大きなリスクをとることができました。しかし、今では利回りと安定のバランスに注力するようになり、トレードシステムを独立後の自分に合ったものに再構築することが当面の課題となりました。
新しいルールを追加したり、資金管理を見直したり、様々な工夫によって、利回りは維持しながらリスクを大きく限定する道筋が見えてきた気はしますが、それでも一定のリスクをとっていることに変わりはありません。
給料の功罪
安定した雇用を捨てた身ではありますが、雇用の持つ価値は極めて大きい、改めてそう思います。「働けば稼げる」という自信が人間にどれだけの勇気を与えるか、想像するまでもありません。
私は雇用を創り出す側に回りたいと考え、もろもろ準備を重ねた上で独立しましたが、必ずしも万人受けする選択肢ではないだろうと思います。損得勘定を追求するなら、会社員ってのは決して悪くありません。安定した雇用を捨ててまで手に入れたいもの/やりたいことがあって、初めて独立という選択肢が現れるのでしょう。
ただし、会社員がリスクフリーかと聞かれると、それも違うような気がします。今後益々雇用は不安定化していく可能性が高いのですから。人口減少、グローバル化、AI、残念ながら日本人にとって全て雇用の縮小につながる話で、椅子取りゲームは当面続くと考えた方がいいでしょう。
そして、会社員が会社の倒産リスクをコントロールすることは不可能です。もし倒産やリストラによって雇用を失った時、稼ぐ方法が全くなくなるとすれば、それはものすごく大きなリスクをとった人生設計かもしれません。
又、給料には麻薬のような中毒性があるようにも感じるのです。給料のために自分の意見を殺す、プライベートの時間を犠牲にする、といった経験は誰にでもあるはずです。そういったことを繰り返しているうちに、現状の全てを肯定し、思考停止状態になりがちなのではないかと。
給料って間違いなく素晴らしいのですが、独立に不可欠な合理的な判断力、そしてハングリー精神を奪うという側面も持っているように感じるのですが、いかがでしょうか?
次回に続きます。
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