おかしな日本財政破綻論④:日本全体の資産と負債
日本全体の資産と負債
前回からの続きです。日本の政府だけでなく、個人や企業も含めた資産と負債のデータは、日本銀行が資金循環統計として公開しています。いくつか公表データがありますが、後程財務省発表のデータと突合したいので、今回は年度計数ではなく年計数の情報を使います。ダウンロードしたファイルの中にある2015年の金融資産・負債残高表から、海外を除く日本国内の資産と負債をピックアップしてグラフにすると下のようになります。
政府の数字だけをピックアップすると資産<負債ですが、個人や企業も合算して日本全体で見ると一転して資産>負債となりました。資産から負債を引いた値はグラフ上小さく見えるかもしれませんが、数字にすると339兆2,630億円。財務省が発表する対外純資産残高の数字ともピッタリ一致します。
この339兆円という数字、実は世界でNo.1です。2015年がたまたま良かった訳でもありません。25年連続で世界1位の対外純資産を持ち続けている国、それが日本です。しかも、日本は経常収支黒字国。今なお稼ぎ続けています。すごいんですよ、この国は!!!
一方、この中で政府の負債(右下の青い部分)のみにフォーカスを当て、「このままでは日本は破綻する」とここ何年も叫び続けているのが財政破綻論者ということになります。
ここで考えてみて頂きたいのです。とても裕福な家族(日本)がいたとします。蓄え(対外純資産)も収入(経常収支)も十分にあります。ただ、放蕩息子(日本政府)が1人いて、お父さん(日本人)やお母さん(日本企業)から大きな借金をしています。この家族の家計は危険でしょうか?
日本財政の課題
家族全体で見れば、家計は危険でも何でもありませんよね。1人放蕩息子がいますが、お父さんとお母さんが支えている、それだけの話です。
現在の日本の財政は完璧といっていいんです。世界の投資家もそう思っていることでしょう。昨今の無茶苦茶な金融緩和以前の円高こそが、その証拠です。誰も破綻しそうな国の通貨など持とうとは思いません。
では、日本の財政上の課題とは何でしょうか?
放蕩息子(日本政府)以外には存在しません。今はまだいいですが、このまま放っておくと何をしでかすか分かったものではありません。だって、この息子(日本政府)ったら
・ 「このままでは借金を返せなくなるから、もっと金(消費税)をよこせ」と、事もあろうに債権者であるお父さんとお母さんに言ってきます。意味が分かりません。
・ 「金を出さないなら老後の面倒(社会保障)はみない」そうです。もう脅迫に近いです。
・ 試しにお小遣いを増やしてみましたが(消費増税)、無駄遣いばかり。老後の面倒をみる気配は全くありません。きっと、これからも同じことの繰り返しでしょう。
という放蕩っぷり。このままでは将来危ないかもしれませんが、今のところはお父さんもお母さんも別に借金を返してもらおうとまでは思っていません(円資産を保有し続けるつもりです)。ただ、真っ当に育って欲しいだけなのですが…。
ちなみに、お父さん(日本人)が放蕩息子(日本政府)にあきれ果て、本気で見捨てて勘当したら(例えば円資産をやめて全てドルにしたら)、放蕩息子(日本政府)の財政は即座にアウトです。日本政府の財政は我々日本人次第なのです。
次回、ここまでの内容をまとめてみたいと思います。
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