消費支出から見る日本経済2018/3
本日、統計局ホームページで2018年3月の消費支出が公表されました。今年も1Qまでの数字が出てきたことになります。ポイントとして、
- 消費支出は1世帯当たり301,230円
- 前年同月比は実質0.2%の減少(名目1.1%の増加)
- 前月比(季節調整値)は実質0.1%の減少
とまとめられていますが、例によって時系列データをグラフにしたものをアップデートしておきます。地道な定点観測ですが、このブログで何度か買いている通り、マクロ視点で景気を分析するならば、日本のGDPの約6割を占める国内消費にフォーカスを当てるのが筋です。
消費支出とその12ヶ月移動平均
青い棒グラフが、統計局が公表している消費支出の生データ。
赤い線グラフは、季節要因の影響を排除するためにその12ヶ月移動平均をとったものです。
消費支出12ヶ月移動平均(拡大バージョン)
上のグラフだと見にくいので、移動平均データを拡大します。
あの東日本大震災の水準すら、いまだに越えられないのが実態です。
- アベノミクスで景気回復という主張がいかにアヤシイか、
- 消費増税がいかに国内消費に悪影響を及ぼすか、
一目でお分かり頂けるのではないでしょうか?直近は上昇しているように見えますが、統計局の”ポイント”は「物価を考慮した実質データでは引き続き減少」と指摘しています。
日経平均比
日経平均株価との比較です。
そもそも相関を見出すことすら難しいのでコメントしづらいですが、株価とは元来そういうものだということです。日経平均株価やTOPIXといった株価指数は、あくまでミクロ(各個別企業の経済活動)の平均であってマクロではないので、当然と言えば当然です。政府や日銀は株価を上げることに躍起になっていますが、政治的なパフォーマンスとしては優れているのかもしれませんが、実体経済という側面ではナンセンスです。
USD/JPY比
為替との比較です。
こちらも期間によって相関していたり逆相関していたり。直近に注目すると、為替は円高方向、国内消費は回復ということになります。円高になれば皆様の貯金も給料も増える訳ですから、こちらの方が理にかなっていますが、為替だけで国内消費を説明するのは無理があります。
何より大きな影響をもたらすのは、来年10月の消費増税。
残念ですが、国内消費に大きく依存した日本経済は、消費増税によってさらに奈落の底へと落ちていくでしょう。どれだけ金融緩和しようが、株式市場に介入しようが、実体経済(最終需要)の役に立たないのは上のグラフからもはや明らかです。そして、前回増税時と同様、その前に大きな駆け込み需要が見られるでしょう(そろそろ始まっているのかもしれません)。
何度でも申し上げますが、日本の財政は危なくなんてありません。日本という国は一切海外の世話になっていない、自立した素晴らしい先進国です。大きな借金と言っても、「日本政府」という唯一の問題児を「日本人」と「日本企業」が懸命に支えている、それだけのことなのですから。
いずれにしろ、引き続きマクロ視点で日本経済に投資することはありえない、という考えを変える必要はなさそうです。
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