私が経済的な自立を手に入れて独立という道を選んだのは、会社員に対してネガティブな印象を持っているからだ、と思われる方もいるかもしれません。実際、テレビ局の取材を受けた時にも、そういったご質問を頂きました。が、これは真逆です。私は、

会社員ほど”オイシイ”商売はない!!!

と思っているのですから(笑)。
私が独立という道を選んだのは、会社員が嫌だったからではなく、一度きりの人生、自分の足で立つことにチャレンジしたい、もう一歩踏み込めば、雇用を作ることにチャレンジしたかったからです。

さて、私の考える”会社員であることのメリット”は概ね3点に集約されます。

  • 毎月給料がもらえる
  • 仕事の経験を通してスキルが貯まる
  • 人脈が形成される

私自身、会社員時代は成功もあれば失敗もありました。
が、自分が会社に貢献できている/できていないに関わらず、毎月一定のお金が自身の口座に振り込まれます。
正直「安月給でこき使いやがって」と思ったこともありましたが、物事が見えてくるにつれて「このお金は一体誰が稼いだお金なんだろう…」などと考えたものです。

他の社員でしょうか?
社長や役員でしょうか?

答えは、このいずれでもなく、勤めていた会社という仕組みそのものだと思います。私のような特別なスキルを持たない人間でも、この仕組みの中で仕事をすれば、会社全体として売上と利益が上がるという訳です。仕組みを作り上げたのは創業者であり、その凄みがここにあります。
仮に社内で私個人が成果を上げたように見えても、実際は私自身がお金を稼いだ訳ではありません。会社という仕組みがなければ、同じ仕事をしても、お金の音を聞くことはできなかったでしょう。
会社員というのは、自らの時間を会社に売っているというのが本質に近いと思います。しかし、会社に勤めることによって得られるこの給料というキャッシュフローが、私の経済的自立の基盤になったことは言うまでもありません。

又、会社員としての仕事は、その規模といい内容といい、個人ではまず経験できないものでした。
うまく仕事を選ぶことができれば、その経験を通して身につくスキルと人脈は、何ものにも代えがたい人生の財産になるはずです。
ビジネスの実体験をさせてくれる学校に通っていると考えれば、普通はお金を払わねばなりません。が、給料までくれるというのですから、はっきり言って”ぼろ儲け”ではないでしょうか(笑)。

実際、シストレWebはいい例です。私がこのサービスを立ち上げることができたのは、会社員時代の経験と人脈があったからです。手前味噌で恐縮ですが、このサービス、素人がちょっとプログラムを書いたというレベルのものではありません。
お金を頂くからには、それなりのサービスレベルを超えなければなりません。もう少し具体的に書くと、当初から基本的な機能、品質、性能が実現できているのは大前提としつつ、日々ユーザーからのFeedbackに向き合い、メンテナンスが継続される中で、

  • より良い機能追加が行われる
  • バグは速やかに修正される
  • 性能も改善されていく

という意味です。皆さんご存知のGoogleの各種サービス、Appleの各種OSを見れば一目瞭然かと思います(日本企業が思いつかないのが悲しいところですが)。私の知る限り、株式のシストレを扱ったもので、そういったサービスが世の中になかったため、自分で作ることにしました。実は、シストレWeb最大の客は私自身なのです。
私にはシステムの開発、構築、運用の経験が一通りありますが、サービスを一から作り上げる中で、自身で解決できないことも多々でてきました。そんな時は、会社員時代に仕事を共にした戦友の手を貸りました。それは技術的なアドバイスであったり、次の展開に向けた市場動向であったりするのですが、時には私個人ではまず会えないようなポジションの方を紹介してもらい、アドバイスを頂いたこともありました。独立当初、私自身も会社員時代の経験と人脈がこんな形で結実するとは思いもよりませんでした。
プログラムというのはどう書いても動きます。が、設計には良し悪しがあり、長期に渡ってメンテナンスに値するプログラムとなると、実はそう簡単ではありません。設計によっては、機能追加やバグ修正に手が回らなくなり、寿命を迎えることになります。余談ですが、日本のどこかの銀行がトラブルを頻繁に起こしていますが、プログラムもしくはシステム全体の設計が相当に甘いのだと思います。

もちろん、会社員にデメリットがあることもよ~く存じ上げております。
人間関係の悩みであったり、社内政治への気配りであったり、その他理不尽なことも多々あるでしょう。実際、自分の人生の全てを会社に期待すると、余程の運がない限り、いずれは愚痴の一つも言いたくなるかもしれません。が、上に書いたようなメリットはそれを十分に上回りますし、将来の独立を見据えて会社員に求めることを割り切ると、不思議と多くのことが気にならなくなります(笑)。

逆説的になりますが、経済的自立を目指す方は、会社員という仕事に、より貪欲に取り組まれば方がいいと思うのであります。